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【雑談】ゴルフ楽しいけど難しい~債権の発生原因~

お世話になっております,小見山です。

最近急に寒くなり,ヒートテックを出そうと思ったら,
夏の断捨離で捨ててしまい,
寒さに耐える冬にしようと思っている今日この頃。

ところで,ボスにお借りしたゴルフセットで
あまり練習もせず何となくやっていたゴルフですが,
最近,と言っても今年の春ですが,
クラブセットを購入しました(ミズノのBRXというシリーズだったはず)。
前々から自分で買わないと練習しないと指導を受けていたものの,
おそらく自分で買うより良いクラブをお借りしていたこともあり,
なかなか買う気にならなかったのですが,
言われたとおりとりあえず購入してみたのです。
すると,あら不思議。
せっかく買ったクラブですし,使いたいからでしょうが,
練習に行くようになりましたね。
先輩の言うことは素直に聞いておくものだと痛感せざるを得なかった出来事でした。

さて,ゴルフといえば,
まだゴルフのゴの字も知らない弁護士1年目か2年目に
打ち込み事故の事案を担当させていただいたことがありました。
今思えば,あの距離を打ち込めるってどんだけ飛んでるんだと思いますが,
当時は普通そのくらい飛ぶものだと思って,
右も左も分からず,担当していたように思います。
打ち込み事故という言葉も知りませんでしたが,
ゴルフを始めるに当たって,
まず最初にしたことがクラブの購入ではなく保険加入だったのは,
この事案を担当させていただいたからに外ありません。

打ち込み事故で怪我をされた場合,
それが知り合いだろうが全く知らない人であろうが,
当然治療費や慰謝料などを請求できることになります。
何にも関係がなかったのに,
突然,ポンっと請求権が発生するわけです。
皆様ご存じ損害賠償請求権ってやつですが,
その発生原因は,不法行為といって民法で定められているんですね。

法学部出身の方なら聞いたことあるかもしれませんが,
民法って眠法と揶揄されるくらい,
なかなかどうして授業が眠くなるものなのですが,
民法のうち,財産法(相続とか離婚の分野を家族法といって,講学上区別します。)の分野は,
つまるところ,誰に何を求めることができて,誰にどんな義務を負うのか,
という観点から世界を見ていく学問分野と言ってよいかと思います。

この誰かに何かを求めることができるぞという権利を請求権,
民法では「債権」と呼び,
誰かに何かをしなきゃいけないんだぜという義務を「債務」と呼びます。

鋭い方はお気づきのとおり,
誰かに何かを求めるというのは,その誰かさんにとっては何かをしなきゃいけないということなので,
この債権と債務は表裏一体で,立場の違いから呼び方が違うだけだったりします。
例えば,コンビニで買い物をした場合,
売買契約の成立によって,
買主は,購入した商品をよこせという売買の目的物引渡請求権を取得し,
売主は,金払えという売買の代金請求権を取得することになります。
上記はいずれも請求権という視点から書いていますが,
言い換えると,買主は,金を払わないといけないという代金支払債務を,
売主は,商品を渡さないといけないという目的物引渡債務をそれぞれ負担する
ということになるわけです。

何だか小難しい話ですが,これが眠法なんですね。
ただ,民法上,今言った債権や債務を発生させる原因は,
実は4種類しかありません。しかも現実的にはほぼ2種類しか使いません。
というのも,先ほどの例にも出てきた日々のお買い物やら,
それこそゴルフ保険なんかも,
誰かに何かと約束して,その約束どおりに事を進めるという点では同じで,
これを「契約」といいます。
債権の発生原因ランキング圧倒的第1位です。
お買い物なら売買契約であることが殆どでしょうし,
ゴルフ保険も保険契約の一種です。
世の中の殆どの債権債務は契約から発生するといっても過言ではありません。
契約は当事者間の合意によるものであり,
原則として,いつどこで誰とどんな契約しようが自由なので(契約自由の原則といって民法の基本原則として勉強するワードです。),
契約の種類は本当に多種多様です。インターネットが普及してからは,加速度的に色々な契約類型ができている気がします。
債権の発生原因は4つと言っても,そのうちの1つである契約が
極めて多種多様であるため,色々小難しいわけですね。
実際の弁護士業務でも,
この契約によって,当事者はどんな権利を得て,
どんな義務を負うのだろうかということを考えたりします。

次いで,先ほどの打ち込み事故でも出てきましたが,
不法行為です。
相手自身や相手の物を傷つけたりすると,
これを賠償せいというのが不法行為で,
打ち込み事故のほか,交通事故なんかが典型的です。

契約が合意によるものですから,
基本的に契約締結前に何らか社会的接触を前提とします。
コンビニだとその接触はだいぶ薄いですが,
保険契約や家を借りますなんて場合には,
契約前に色々と説明を受けたりだなんだとありますよね。
これに対し,不法行為は,社会的接触を前提とせず,
法益侵害行為があれば発生します。
先ほどの打ち込み事故でも言ったとおり,
知り合いだろうが知らない人だろうが,
打ち込まれて怪我したら発生するんですね。
要するに合意があろうがなかろうが発生します。
詳細は割愛しますが,合意がなくても発生するぜという点では,
不当利得や事務管理も同じです。

このように,契約は,約束して発生するので「約定債権」,
その他の不法行為等を民法が定めた債権という意味で,
「法定債権」と呼んで講学上区別します。

だからなんだと言われたらそれまでなんですが,
ここまでの話をまとめると,
民法は,世の中を権利と義務という観点から見ていくもので,
権利と義務,つまり債権債務の発生原因は,
約定債権である契約と,
法定債権である事務管理,不当利得及び不法行為の4つしかない。
ということになります。

久々の投稿でしたし,
最近法律系の投稿してなかったので,
とりあえず半ば強引に民法の基本的なことをお話してみました。
なんだか少しだけ,意外と民法って簡単かも?
と思ってもらえたら上出来ですが,
いかがだったでしょうか。

それはそうと
アプローチってどうやって練習したらいいんでしょうか。
誰か練習方法を教えてください。

 令和5年11月吉日

                弁護士 小見山 岳