【独り言】~財産を小分けにもらって節税か?~
こんにちは。
税理士の越智満です。
相続税を補完する贈与税の話を次回に…
と前回の独り言を締めていたので,贈与税のお話です。
相続税は,
お亡くなりになった人(財産を持っていた人)が
”いくら財産を持っていたか”
で,納税の有無が決まりますが,
贈与税は,
”いくら財産をもらったか”
で,納税の有無が決まるため
”誰からもらったか”
は,納税の有無には関係ありません。
贈与税は次の2つの情報から計算します。
1 その年にもらった財産の総額
2 誰から財産をもらったか
・・・ん?
誰からもらったかは関係ないのでは・・・?
となりますが,贈与税の一般的な仕組みをみてみます。
まずは,
ここまでは贈与税が発生しない
“基礎控除”
というものがあります。
基礎控除は
年110万円です。
ここでいう”年”とは,”毎年1月1日から12月31日の間に”という意味です。
例えば,
小職が父から
令和3年12月31日に100万円をもらって,
さらに,
令和4年1月1日に100万円をもらった場合,
今日(令和4年6月15日)を基準に考えると,
直前1年間で計200万円もらっていますが,
令和3年も令和4年も110万円以下のため贈与税の納税義務はありません。
これに対し,
小職が父と母から
令和3年12月31日にそれぞれ100万円ずつもらった場合,
今日(令和4年6月15日)を基準に考えると,
前例と同じく直前1年間で計200万円もらっていますが,
令和3年にもらった金額が110万円を超えているため,
令和3年分の贈与税について納税義務が発生します。
もらった日が一日違うだけで大違いです。
次に,もらった財産の総額から基礎控除を引いた残額に税率を掛けて贈与税を計算します。
贈与税の税率は,
もらった財産が多くなれば多くなるほど10%~55%と税率が大きくなります(超過累進税率といいます)が,
財産をもらった年の1月1日時点で18歳以上(注1)の方が
直系尊属から財産をもらった場合には
税率が緩やかに大きくなるため,
配偶者や第三者から財産をもらうより
納税金額が少なくなる傾向にあります・・・・
少なくなる傾向って?
少なくならないこともあるの?
なんかややこしいなぁ・・・
ということで贈与税の目安表を作成してみました。
※ 特例がある場合,この金額よりも納税すべき贈与税額は減少します。
毎年小分けに贈与すれば,相続税も贈与税も減らせるけど,
土地や建物を小分けに贈与するのは難しい。
そんなときに,”相続時精算課税制度”というものがあります。
では,相続時精算課税制度の話を次回に…
(注1)
贈与税率が緩やかに大きくなる年齢は,
令和4年3月31日以前は20歳でしたが,
民法の改正により成人の年齢が20歳から18歳になったため,
これに合わせて令和4年4月1日以降は18歳となりました。
せっかくここまでお読みいただいたのですが,
相続税法については大幅な改正が行われる可能性あるので,
令和4年6月時点の取扱いとしてご覧ください。