【雑談】遺言で残したのは遺恨?~遺産相続あれこれ2~
お世話になります,弁護士の小見山です。
小職の苗字は「小見山」と書くのですが,
郵送物を頂く前提で電話で苗字を伝えた場合,
十中八九,郵送物の宛名は「小宮山」になっているので,
そんな時は,「おれは千葉ロッテの名投手の親族になっちまったぜ,フフフ」
とくだらないことを頭の中で思っていたりします。どうも,小見山です。
さて,全く関係ない話をして皆さんの貴重なお時間を数秒無駄にしたところで,
前回の続きです。
前回は相続について,相続人側から見たお話を少しさせていただきました。
今回は相続について,「被相続人」側からお話しします。
被相続人とは,亡くなられた方のことですから,
当然,相談に来られるのは亡くなられる前なのですが,
ご自身が亡くなった後について,
子どもたちにもめて欲しくないという思いで,
ご相談に来られる方がちらほらいらっしゃいます。
中には,逆に誰々には相続させたくない,
あるいは誰々にはこれだけしか相続させたくないという方もいらっしゃいます。
そこで,まずは誰が相続人になるの?
という点についてお話しておきます。
ご存知の方も多いと思いますが,相続人が誰になるのかは予め民法が定めています。
そのため,これらの相続人のことを
予め民「法」で「定」めた「相続人」ということで,
「法定相続人」なんて一般に呼んでいますが,
正確には,民法上「推定相続人」といいます。
推定相続人は,あくまで推定にすぎず,
被相続人を殺害した相続人や被相続人を騙したり脅して遺言を作成させるなど
一定の理由(これを欠格事由といいます。)がある相続人には,
そもそも相続人となる資格がありません。
サスペンスドラマではありがちですが,
犯人が相続人だった場合,
犯人は後に逮捕されて刑事裁判を経た上で服役するだけでなく,
民事上も相続できないわけです。当然といえば当然ですね。
また,刑事事件とまではいえないとしても,
被相続人を虐待していたとか,長期間音信不通であるとか
家庭的な信頼関係が破壊されているような事情が認められる場合には,
家庭裁判所に請求して相続人から除外することもできます。
これを推定相続人の「廃除」といい,
生前に被相続人自身が請求することもできますし,
遺言執行者を指定しておけば,遺言によって請求することもできます。
とはいえ,欠格事由が認められる場合や廃除まで求めるというのは稀有なことで,
実際には推定相続人がそのまま相続人となる例が多いかと思います。
(少なくとも小職はこれまで欠格事由が問題となった相続を担当したこともなければ,
廃除の請求をしたこともありません。)
では,推定相続人は誰がなるの?という点ですが,
まずは,配偶者がいれば配偶者。
配偶者は,いわば「殿堂入り」扱いで,相続順位に関係なく常に相続人になります。
大きな声では言えませんが,
男性既婚者の皆様,奥様は生きてる時だけでなく,亡くなった後も強いのです。
冗談はさておき,配偶者以外の推定相続人は順位が決まっています。
第1順位が「子」,第2順位が「直系尊属」,第3順位が「兄弟姉妹」。
第1順位がいれば第1順位,第1順位がいなければ第2順位,第2順位もいなれば第3順位
というように順位に従って推定相続人が決まります。
「直系尊属」は,聞き慣れない方も多いでしょうが,
「ちょっけいそんぞく」と読み,要するに直接血の繋がった上の世代のことで,
被相続人のご両親や祖父母がこれに当たります。
「兄弟姉妹」は以前の投稿で取扱いましたが,
通常とは異なる読み方をします。
答えが気になる方は以前の投稿を要チェックやで!
さて,推定相続人は以上のとおりですが,
それ以外の人にも遺産を分けたい!という場合によく利用されているのが「遺言」です。
と,やっと本題に辿り着いたところで,
またもやお時間が来てしまったようです。
次回,「遺言で残したのは遺恨~遺産相続あれこれ3~」
お楽しみに~。
令和4年5月吉日
弁護士 小見山 岳