こんにちは。
税理士の越智満です。

先日,東大○なるクイズ番組をみていたら,
「インボイス制度・・・令和5年10月から始まる仕入税額控除の制度」
と,しれっと解説がされていました。
ちらほら耳にするこのインボイス制度ですが,
「なんか税金の話なんかな?」
「関係あるんかな?」
「よくわからんけどどうなんの?」
と疑問がわくところですが,

正式には
「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式」といい,
この長い名前の最初にあるように「消費税」に関する制度なんです。

そこで,
現在の消費税のお話と
インボイス制度になったらどうなるかというお話をしていきます。

まず,現在の消費税のお話です。

1 免税事業者と課税事業者
 平成元年からスタートした消費税ですが,
 事務の複雑性等を考慮して,
 事業を開始してすぐの方などで
 2年前の売上げが1000万円以下の事業者(※1)は
 消費税を納める必要がないことになっています(免税事業者といいます。)。
 
 免税事業者以外は消費税を納める必要があり
 次の2又は3の方法で消費税を納めています(課税事業者といいます。)。 
 
 
2 消費税の原則的取り扱い 
 課税事業者は
 商品の売上げやサービスの提供によって
 預かった消費税(A)から
 商品の仕入や家賃や水道光熱費等として
 支払った消費税(B)を
 差し引きして
 余った金額(A-B)を納税することになっています。
 
 例えば,
 売上げによって預かった消費税が1000で,
 仕入れによって支払った消費税が700だった場合,
 1000から700を差し引いた300が納税すべき金額になります(※2)。

 こんなイメージです。
 

 この700を控除できる仕組みを
 「仕入税額控除」
 と,いいます。

 インボイス制度の正式名称
 「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式」
 の「仕入税額控除」なので,ここに何かしら変更がある予感がしますね。
 
 
3 消費税の例外的取り扱い
 課税事業者のうち,
 2年前の売上げ(※3)が5000万円以下の事業者については
 「簡易課税制度」と呼ばれる特例を選択することができます。

 簡易課税制度を選択すると,
 原則的取り扱いの
 「商品の仕入や家賃や水道光熱費等として支払った消費税(B)」
 の部分が
 「商品の売上げやサービスの提供によって預かった消費税の何割の金額(B)」
 に変わります。
 この「何割」の部分は業種によって決まっていて,
 ざっくり次のようになっています(※4)。
 卸売業なら90%
 小売業なら80%
 製造業なら70%
 飲食業なら60%
 サービス業なら50%
 不動産業なら40%

 例えば,
 飲食業を営む事業者が
 売上げによって預かった消費税が1000だった場合,
 1000の60%の600を控除することができるので,
 1000から600を差し引いた400が納税すべき金額になります。

 こんなイメージです。

 
 
ざっくりですが,
現在の消費税の取り扱いはこの様な感じです。

  

やっとメインに到達しましたが,
インボイス制度が導入されると
消費税の原則的取り扱いの
「商品の仕入や家賃や水道光熱費等として支払った消費税(B)」
の部分がより厳密になり,
「商品の仕入や家賃や水道光熱費等として適格請求書発行事業者に支払った消費税(B)」
に変わります。

ちょっと文字が増えただけのように思えますが,
これがえらい違いです。
ほぼ全ての事業者に影響がありますが,
特に免税事業者の方への影響が大きいです。

長くなってしまったので,インボイス制度の詳細を次回に…

 
 
 
 

※1 小規模事業者にかかる納税義務の免除といいます。
  なお,事業を引き継いだときや,法人で事業年度が1年でないときは,
  2年前の売上げが1000万円以下でも納税義務が発生する場合があります。 
※2 不動産業や医業などでこの通りにならない場合もありますが,この度は省略しています。
※3 事業年度が1年でないときは,2年前ではないことがあります。
※4 簡易課税の業種区分は,消費税の計算上重要な部分ですので,
  安易な判定はせず税務署や税理士に相談することをお勧めします。

 
 
細かな取り扱いが多い消費税をざっくり説明しているため,注釈が多くなってしまいました…

お世話になっております,弁護士の小見山です。

前回まで相続の話を徒然なるままに書き連ねてきましたが,
今回は箸休め的な意味を込めて,
ちょっとした豆知識的なお話です。
おそらく知らなくても困ることはないですし,
知っているからといって,
おそらく同僚や後輩に飲み会でちょっとしたドヤ顔ができる程度にしか
役に立つこともないかとは思いますので,
お忙しい方は,この時点でブラウザバックすることを推奨いたします。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・いいんですか?本当に役には立ちませんよ??

よろしいようなので,話を進めますね。

さて,前回までお話してきたとおり,
相続とは,要するに相続財産を相続人や受遺者で分けることなのですが,
実際の分割の際には少し困った事態に陥ることがままあります。
例えば,1000万円の現金を3人で仲良く分割するという話になったとしましょう。
ところが,困ったことに,
1名当たりの具体的相続分が333万3333.3333333・・・円という計算結果になってしまいます。
切り捨てれば333万3333円になりますが,
相続財産は1000万円なので,1円余りが出ます。
あるいは,1000万0001円の相続財産を2名の相続人で分割する場合,
1名当たりの具体的相続分は500万0.5円となってしまい,
四捨五入すると500万0001円,合計1000万0002円となりますが,
相続財産は1000万1円しかありませんから,1円不足してしまいます。
その他にも,交通事故の損害賠償請求などでは,
遅延損害金といって,要するに延滞料みたいなものを支払うことがありますが,
法定利率は年3%ですので,100万円に対する半年分の遅延損害金は,1.5円になり,
同様に端数が生じることがあります。

さて,どうしましょう。
相続の場合は,遺産分割協議により,
どなたかが1円多くもらう形で合意が形成できれば問題ありませんが,
遅延損害金の0.5円は切り捨てるのか繰り上げるのか・・・。
たかが1円,されど1円です。

端数の処理について,法律は何か決めているのでしょうか。
答えは,イエスです。
該当する法律は,
  「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」
といい,同法第3条第1項は,
 
 債務の弁済を現金の支払により行う場合において,その支払うべき金額(数個の債務の弁済を同時に現金の支払により行う場合においては,その支払うべき金額の合計額)に五十銭未満の端数があるとき,又はその支払うべき金額の全額が五十銭未満であるときは,その端数金額又は支払うべき金額の全額を切り捨てて計算するものとし,その支払うべき金額に五十銭以上一円未満の端数があるとき,又はその支払うべき金額の全額が五十銭以上一円未満であるときは,その端数金額又は支払うべき金額の全額を一円として計算するものとする。ただし,特約がある場合には,この限りでない。

と定めています。法律の条文ってやたら長いですよね。
要約すると,「原則四捨五入だぜ!別に決めてりゃそれ次第☆」と書いてあります。
ということは,先ほどの例で言えば,遅延損害金における0.5円は繰り上げることになるので,
1.5円は,2円になるということですね。少し得した気分です。
他方で,あくまで「債務の弁済を現金の支払により行う場合において」なので,
相続など純粋な計算の場面では,先ほどの例のように,必ず繰り上げなきゃいけないとなると,
相続財産の総額と整合しない場合がありますから,
四捨五入しなきゃいけないということではありません。

さて,今の説明を聞いて,経理をご担当されている方など,
税金の計算で同じような端数に出会うことが多々あるかと思いますが,
疑問に思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
四捨五入じゃなくて小数点以下は切り捨てではなかったかしら?と。
実は,先ほどの法律の第3条第2項には,

 前項の規定は,国及び公庫等(国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律(昭和二十五年法律第六十一号)に規定する国及び公庫等をいう。)が収納し,又は支払う場合においては,適用しない。

と定めてあります。税金なんかは正に国が収納する場面ですから,
四捨五入の原則は適用されないんですね。
税法上の端数の取扱いが具体的にどうなっているのかは,
きっとどこかの税理士さんが教えてくれるでしょう。笑

ちなみに先ほどの「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」ですが,
第7条には,
  貨幣は、額面価格の二十倍までを限り,法貨として通用する。
と定めてあります。
貨幣の強制通用力の範囲を定めたものですが,要するにお金として使える枚数の限度を決めています。
実は,1円玉から500円玉は,最大でそれぞれ20枚までしか使えないのです。
ですから,小銭で支払える限界は,
  1円玉  ・・・   20円
  5円玉  ・・・  100円
  10円玉 ・・・  200円
  50円玉 ・・・ 1000円
  100円玉・・・ 2000円
  500円玉・・・10000円
の合計1万3320円ということになります。
コンビニで大量の小銭でたばこやらを買おうとされるお客さんを見ると,
小職は心の中で「21枚目以降はお金として認められないぜ・・・」
なんてことを思ったりせずに,おそらく「早く会計済ませて欲しいなぁ」とか思っています。

ところで,皆さんご存知1万円札ですが,
30万円のお買い物をする場合,
1万円札を20枚以上使いますよね。
あれ?お金は20枚までじゃないの?と思った方は鋭いです。

実は,お札はまた取扱いが異なります。
というのも,先ほどの法律でも「貨幣」とあり,
1万円札などのお札は含まれていないのです。
先ほどから「お札」と呼び,「紙幣」とは言っていませんが,
通貨の種類としては,「紙幣」というのはありません。
え?いやいや,1万円あるやん。自動販売機に「紙幣入口」とか書いてあるやん
って思う方もいらっしゃるかもしれませんが,
先ほどの「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」第1条第3項には,

  第一項に規定する通貨とは,貨幣及び日本銀行法(平成九年法律第八十九号)第四十六条第一項の規定により日本銀行が発行する銀行券をいう。

と定めてあります。
「お札」は「紙幣」ではなく,「日本銀行券」といい,国が発行する紙幣ではないのです。
お札にもしっかりと「日本銀行券」と書いてあるので,ぜひ一度確認してみてください。

さらに,日本銀行法という法律の第46条を見てみると,
  
第1項では,
    日本銀行は,銀行券を発行する。
と定め,続けて第2項では,
    前項の規定により日本銀行が発行する銀行券(以下「日本銀行券」という。)は,法貨として無制限に通用する。
と定めています。
「無制限に通用する」とあるので,貨幣と異なり,
20枚を超えようがお金として無限に通用するわけです。
まぁいくら通用力が無制限でも
所持金は無制限じゃありませんがね・・・

とまぁ普段当たり前のように触れている「お金」ですが,
実は,法律でしっかりと色々と定めているんですね。
このように我々が当たり前のように暮らしている生活の裏側には,
法律によって色々と取り決めがされているんだなぁと思っていただけたら,
今回の投稿の目的は概ね達成です。

いかがでしたでしょうか。以上,明日使える(かもしれない)無駄知識でした。

  令和4年8月吉日
                弁護士 小見山 岳

こんにちは。
税理士の越智満です。

3回にわたって相続税と贈与税の取扱いをつぶやいてきましたが,
「相続税ってほんまに関係あるん?」
と,疑問になります。

実は,
”相続  ”は100人中約8人
しか関係がない税金です(財務省:相続税・贈与税に係る基本的計数に関する資料より)。
令和元年の数値ではありますが,そんな程度なんです。
でも,
”相続”は100人中100人に関係があります。
私も含めて人間はいつか亡くなるからです。

自分が亡くなるときにどれだけの財産が誰にわたるのか。
相続人としては,
「お金等のプラスの財産ならうれしい」
「借金等のマイナスの財産ならうれしくない」
ですよね。
場合によっては,不動産といったプラスの財産でも
「田舎にあるものは,管理が大変なだけで要らない」
と,マイナスになることもあります。

「まぁ,自分には財産はないから」
と,考えられる方もいらっしゃるかもしれませんが,
通帳1つでも財産になります。

相続財産が少額でも争いになることがありますし,
不動産等の分けにくい財産もあります。
なので”相続”にあたっては,
1 自分にはどんな財産があるのか。
2 その財産はいくらになるのか。
3 その財産を誰にあげたいか。
4 その時に税金はかかるのか。
この順番で一度検討してみることが大切だと思います。

財産がプラスなら遺言を作成してみても良いですし,
財産がマイナスなら相続放棄をするよう相続人に伝えておいても良いと思います。

検討の際は,
小見山弁護士のシリーズ
【雑談】遺言で残したのは遺恨?~遺産相続あれこれ~
を参考にされるのが良いと思いますよ。
ちょうど前回の投稿で完結している”はず”です。

 
 
 
 

最後に,
相続に関する税務相談で,
「相続で財産をもらったら所得税がかかりますか」
といった,質問がよくあります。
答えは
「所得税は課税されません」
となります。
相続後の賃貸収入等はもちろん所得税の対象となりますが,
相続財産は所得税の計算には含めないので,
所得税は課税されないということです。

 
平素は格別のお引き立てを賜り,厚く御礼申し上げます。

さて,誠に勝手ながら,当事務所は

令和4年8月11日(木)から8月15日(月)まで

お盆休みとさせていただきます。

恐れ入りますが,当事務所に御用の方は令和4年8月16日(火)以降にご連絡ください。

ご迷惑をおかけしますが,よろしくお願いいたします。
    

越智法律会計事務所

お世話になります,弁護士の小見山です。

気が付けば,シリーズ第4回。もはや長期連載。
きっとこれがシリーズ最後の投稿になります。おそらく,多分,きっと。

さて,前回まで相続と遺言について色々と申し上げてきましたが,
前回の最後に突然現れた「遺留分」。
ドラマ最終回直前に現れた謎の人物並の唐突さでしたが,
遺言作成における要注意人物,もとい要注意事項の遺留分ですが,
こいつがなかなか厄介なのです。

前回も簡単にご説明したとおり,
推定相続人の最低保障分みたい制度なのですが,
民法第1042条第1項を見てみると,
「兄弟姉妹以外の相続人は,遺留分として,次条第1項に規定する遺留分を算定するための財産の価額に,
 次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合を乗じた額を受ける。
  一 直系尊属のみが相続人である場合 3分の1
  二 前号に掲げる場合以外の場合 2分の1」
と書いてあります。
また,民法第1043条第1項には,
「遺留分を算定するための財産の価額は,
 被相続人が相続開始の時において有した財産の価額に
 その贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除した額とする。」
と書いてあります。
さらに,次の民法第1044条第1項前段には,
「贈与は,相続開始前の1年間にしたものに限り,前条の規定によりその価額を算入する。」
と書いてあります。
ふむふむ。よく分かりませんね。

もしも,よく分かったという方がいたら,
もはやこの記事を読む必要は皆無ですので,
どうぞブラウザバックして,
他の有益な記事をご参照ください。
小職と同じで,よく分からぬという方は,
一緒に遺留分の謎を解き明かしていきましょう。

まず,「兄弟姉妹以外の相続人は,」とあるので,
第3順位の相続人には関係ないということが分かります。
なので,遺留分が問題になるのは,
配偶者及び子又は直系尊属が推定相続人となる場合です。

続いて,極めて分かりにくいですが,
要するに,
 相続財産+1044条の贈与の額-債務=遺留分の元になる財産
ということなのですが,
分かりにくいので,ここではとりあえず相続財産と理解してもらって構いません。
そうすると,
 1 直系尊属のみが相続人である場合は,相続財産の3分の1
 2 前号に掲げる場合以外の場合は,相続財産の2分の1
が遺留分として受け取れますよということになります。
直系尊属のみというのは,
要するに未婚又は離婚していて,子がいない場合で,
両親や祖父母が存命中ということですから,
なかなかのレアケースであって,
大抵の相続は,上記2の場合ということになります。
ん?相続財産の半分が遺留分ということ??え!?
と思う方も多いかと思いますが,そうなんです。
ただし,あくまで「遺留分」というのは,
最低保障の「枠」のようなものですから,
実際に相続人が主張できる割合は,
当該相続人の法定相続分に限られます。
(推定相続人が1名の場合は2分の1ということになります。)

半分も遺留分だなんて,
自分の財産なんだから,自由に処分させてくれよと
言いたくもなる制度です。
講学上,相続が残された家族の生活保障の意味もあるから認められている
とか説明がなされますが,
実際に批判も多いところではあります。

しかしながら,例えば,推定相続人が配偶者のみである場合,
何を思ったか被相続人は,
愛人であるAさんに全部相続させる旨の遺言を書いたとしましょう。
愛人の存在を知ってても,配偶者ぶち切れませんか?
今まで献身的に尽くしてきたし,
被相続人の嫌なところも我慢してきたというのに,
ある日突然現れたポッと出の若い愛人が全部の財産持って行きまーす
となったら配偶者が浮かばれません。

というわけで登場するのが,遺留分なわけですね。
上記の例の場合は,配偶者は遺贈がなければ,
全部相続するはずだったのに,
遺贈により相続分が0になりますから,
相続財産に対する2分の1の遺留分全部が侵害されています。
そのため,たとえ愛人に遺産全部を渡すという遺言があっても,
遺留分に満たない分,つまり相続財産の半分相当の金払え!と言えるわけです。
なお,上記の例と異なり,配偶者と子1人が推定相続人の場合,
遺留分という「枠」は2分の1ですが,
これを相続人間で分けることになるので,
配偶者と子がそれぞれ遺留分の2分の1ずつ,
つまり,相続財産の4分の1がそれぞれ遺留分になります。
この遺留分が侵害されているから金払え!という請求を「遺留分侵害額請求権」といいます。
ちなみに,この権利は,民法改正前は「遺留分減殺請求権」といい,
「いりゅうぶんげんさいせいきゅうけん」という
邪王炎殺黒龍波(幽遊白書)みたいで響きがカッコいい権利でした。

さて,ざっくりと説明した遺留分ですが,
遺留分があるといっても,
遺言の効力とは別問題ですから,
遺言が有効なら当該遺贈が無効になるというわけではなく,
あくまで遺留分を侵害した限度で金払え!といえるだけです。
また,わざわざ請求しなければならず,
請求せずに1年経つと消えてなくなります。
そういう意味では,自分の財産は自分で処分できるという原則が
制度の根底にはあるといえますね。

さてさて,ここまで説明すれば,
遺言を作成する際に注意しなければならないのが,
この遺留分という制度なんですという意味が,
お分かりいただけたのではないでしょうか。

子らとあんまり仲が良くないからという理由では,
廃除もできませんし,
かといって,遺留分という最低保障を侵害すると,
結局,遺留分額侵害請求をされてしまい,
亡くなった後にもめてしまう可能性が出てきます。
先ほどの例では,説明のために簡素化してますが,
実際には,遺留分の基礎となる額のうち,
算入すべき贈与の有無などで争いになることが多く,
かえって遺留分を考慮せずに遺言を作成してしまったがために,
ご遺族と受遺者との間に深い深い遺恨を残す結果になってしまうこともあります。
(タイトル回収!!!)

以上のとおりですので,遺言を作成する際には,
相続分の指定のみならず,
遺産分割方法まで指定することに加えて,
遺留分の侵害とならないかどうかも気を配る必要があるのです。

最後に,では遺留分の侵害にならないようにするにはどうしたらいいの?
という疑問にお答えしますが,
結論としては,法律で決まっていることなので,
遺留分を0にするのは無理ですというお答えになります。
ただし,遺留分額侵害請求権を行使させないという意味では,
最も簡易な方法は,遺留分相当額の財産を遺言で指定しまうことです。
ですが,これは遺留分相当額を遺言で渡すというだけなので,
遺留分侵害額請求はできませんが,
最低保障はしていることになります。
それでは納得できない,最低保障すらしてあげたくないという方は,
国会議員になっていただいて,
民法を改正して遺留分制度を廃止していただくしかありません。
法律を駆使してなるべく希望に沿うようにすることはできますが,
法律で決まっていることを変えられるのは,立法権者のみです。
(一応,家庭裁判所の許可を得て遺留分を放棄することは可能ですが,
強制することはできません。)

とはいえ,限界があるものの,
生前に生命保険契約を利用することで,
結果的にある程度遺留分の額を減少させること自体は可能です。

というのも,死亡保険金は,受取人を指定していた場合,
相続財産には含まれません(税務上は扱いが異なるので注意!)。
これは,受取人を指定していた場合,
受取人と保険会社との契約関係に基づく請求権であるため,
被相続人の保険会社に対する請求権ではないと考えるためです。
これまで説明したとおり,
相続は,あくまで被相続人の地位を引き継ぐものですから,
被相続人の権利じゃないものは,引き継げないのです。
長期的に将来相続財産となる預貯金の額から,
生命保険料を支払い,相続開始時の相続財産を減少させることによって,
結果的に遺留分の額を減少させるということが可能となります。

もっとも,生命保険契約では,受取人に制限がある場合が殆どですから,
全ての場合に利用できる方法ではありませんし,
いつ亡くなるかなんて誰にも分からないので,
減少幅も不明確と言わざるを得ません。
なかなか厄介なんです,遺留分。

なんだか駆け足の割には,長々と話してしましましたが,
正確性よりも説明の分かりやすさを優先したつもりなので,
個別の案件によっては,異なる結論となる場合もあり得ますので,
参考程度に留めていただいて,
詳細については,ぜひとも当事務所までご連絡ください。
以上,「遺言が残したのは遺恨?~遺産相続あれこれ~」でした。
ではでは!

  令和4年7月吉日
              弁護士 小見山 岳

こんにちは。
税理士の越智満です。

相続時精算課税制度の話を次回に…
と前回の独り言を締めていたので,相続時精算課税制度のお話です。

相続時精算課税制度が使えるのは,
原則として,
60歳以上の父母や祖父母から
18歳以上の子や孫への贈与に限られますが,

この制度を利用すると,
① 贈与税の基礎控除110万円がなくなります。
② 基礎控除の代わりに特別控除として”一生で”2500万円までの贈与なら贈与税が発生しなくなります。
③ 税率が超過累進税率から一律20%に固定されます。
④ 相続時精算課税制度を利用して贈与した財産が相続税の計算上相続財産にプラスされます。
このように,ガラッと取扱いが変わってしまいます。

え?
相続税を減らしたいから事前に贈与してたのに,
相続時精算課税制度を使うと相続財産にプラスされる!?
・・・この制度意味ないやん。
しかも,ややこしいなぁ・・・
ということで,
原則的な贈与と相続時精算課税の違いをまとめました。

と,こんな感じです。
うまく使えば便利な場面がいくつかあります。

1 節税目的
 賃貸用不動産で利益がある場合,
 その利益の積み重ねが将来の相続財産になります。
 そこで,相続時精算課税制度を利用して,
 事前に賃貸用不動産を贈与することで,
 将来たまるであろう相続財産を減らすことができます。
 ※ 物件によるので必ず有利になるということではありません。
 
2 承継目的
 実家を長男に引継ぎたい場合,
 遺言書ではなく生前に贈与していた方が安心だけど,
 買えともいえないし,贈与すると贈与税が発生してしまう。
 そこで,相続時精算課税制度を利用すれば,
 贈与税を低減することができるので,
 長男が実家を引継ぎやすくなります。

便利に使えそうな相続時精算課税制度ですが,
相続時精算課税の選択は一生取り消すことができないという注意点があります。
「今年は2500万円まで贈与税か発生しないし,
来年以降は110万円まで贈与税が発生しない~♪」
こんなことはできません。
安易に相続時精算課税制度を利用して
「思ってたんとちゃうやん!!」
と,ならないように,

贈与をする前

税務署や税理士に相談をしてみてください。

 
 

(注1)
相続時精算課税が利用できる年齢は,
令和4年3月31日以前は20歳でしたが,
民法の改正により成人の年齢が20歳から18歳になったため,
これに合わせて令和4年4月1日以降は18歳となりました。
また,年齢は贈与があった年の1月1日時点で判断します。

 
 
 
 

せっかくここまでお読みいただいたのですが,
相続税法については大幅な改正が行われる可能性あるので,
令和4年7月時点の取扱いとしてご覧ください。

お世話になります,弁護士の小見山です。

何だかんだ3回目の遺産相続あれこれですが,
こんなに長くなるとは思わず,
果たしていつ終わるのか,タイトル回収はいつになるやら。
小職も不安ですが,とりあえず前回からの続きから。

前回,推定相続人が誰になるのかという誰でも知ってそうなことを
長々とお話させていただきました。
今回は,推定相続人の他に追加メンバーの加入もできますぜ,なんて話です。

さて,推定相続人が決まったら,
その人たちだけで遺産を分けるしかないのかというと,
そういうわけではありません。
前回申し上げたとおり,推定相続人以外の方にも遺産を分けたい,
そんな時に利用されるのが「遺言」です。
従前の投稿でもご説明したことがありますが,「いごん」と読みます。

遺言で推定相続人以外の方に遺産を分けることを「遺贈」といい,
遺産を受け取る側を「受遺者」といいます。
遺贈も相続と同様に,
まるっと承継させる包括遺贈と,
特定の財産のみ承継させる特定遺贈があります。
まるっと承継させる包括受遺者は,相続人と立ち位置が似ていますから,
イメージとしては,
監督(民法)が選んだメンバーが推定相続人で,
ファン(被相続人)投票(遺言)で選ばれたメンバーが包括受遺者といったところでしょうか。
あるいは,買い物した後のレジ袋をイメージしてもらうと分かりやすいかもしれません。
買い物袋に入った商品が個々の相続財産で,
レジ袋が被相続人の地位です。
特定遺贈は,レジ袋の中の商品のいずれかをもらえるだけですので,
渡して終わり。レジ袋は持てません。
他方で,相続人と包括受遺者は,いわばレジ袋ごと商品を把握できるわけです。

ちなみに,遺贈と似て非なるものに「死因贈与」というものがありますが,
死因贈与は,あくまで死亡を条件とする契約であって,
贈与する側とされる側の合意によって成立しますが,
遺贈は,遺言者の一方的意思表示といった違いがあります。
流れで話しましたが,「へぇ~」と思って死因贈与のことは忘れてください。

さてさて,誰が相続人か,あるいは包括受遺者か決まれば,
続いて問題になるのが,
誰がどれだけの地位をどうやって承継するのかということです。
各相続人が承継する持分のことを「相続分」といいますが,
「相続分」については民法が予め定めています。
民「法」が予め「定」めている「相続分」?
そうです,これを「法定相続分」なんて呼びます。

誰が相続人かによって法定相続分が異なるのですが,
パターンは相続順位によって3つ。
前回投稿でご説明したとおり,配偶者は常に相続人となるので……
その1,配偶者(1/2)+子(1/2)
その2,配偶者(2/3)+直系尊属(1/3)
その3,配偶者(3/4)+兄弟姉妹(1/3)
となります。配偶者強し。

我が国では重婚は認められていませんから,
配偶者は1人なので上記の割合となりますが,
それ以外の推定相続人は,複数いる場合があり得ます。
その場合は,原則として,上記の割合を人数で除して,個々の法定相続分を求めることができます。
例えば,被相続人の子が2人だった場合は,法定相続分1/2÷2=1/4が子1人当たりの法定相続分となります。
ただし,例外として,子のうち,いわゆる半血兄弟(被相続人の前妻又は前夫の子)については,
全血兄弟の半分になるので,上記の例で1人が前妻又は前夫の子だった場合,
子らの相続分は,全血兄弟が法定相続分1/2×2/3=2/6=1/3,
半血兄弟が法定相続分1/2×1/3=1/6となります。

何だか数字が出てきた途端ものすごくややこしくなりましたね。小職もそう思います。
いずれにしても,民法で決めているのは,「相続分」までなので,
結局,「どのように分けるか」という問題は解決してくれません。
この遺産を「どのように分けるか」ということを
「遺産分割方法」といいます。
少し分かりにくいかもしれませんが,
例えば,相続分が「2分の1」と決まっていた場合,
相続財産が現金のみである場合には,
相続分さえ決まっていれば,全体の半額をもらえばいいので,
「どのように分けるか」という問題になりません。
しかし,相続財産が現金1000万円と1000万円の不動産があった場合はどうでしょう。
合計2000万円分の相続財産の「2分の1」とまでは決まっていますが,
具体的な分け方としては,
現金全額をもらう,不動産全部をもらう,
あるいは現金500万円と不動産を半分もらう,という3つの方法が考えられます。
このように具体的に「どのように分けるか」というのが
「遺産分割方法」の問題です。
かかる遺産分割方法については,民法は何も定めていません。
というより,相続によって相続財産の内容は異なるので,
定めようがありません。
そこで,これらの問題は,相続人や包括受遺者が話し合って決めるしかありません。
この話し合いが皆さんご存知の「遺産分割協議」です。
遺産分割協議=なんかもめそう。というイメージがあるのは,
きっと小職だけではないはず。

ところがどっこい。
遺言は,法定相続分と異なる相続分を指定することができるのみならず,
遺産分割方法も指定できるのです。
つまり,誰に何を相続させるのか,ということも当然決められるわけです。
相続分を指定したのみでは,
殆どの場合,遺産分割協議が必要になりますが,
遺産分割方法まで指定しておくと,
もめる余地が少なくなります。
逆に,相続分のみを指定した遺言では,
遺恨が残る可能性があるということです。
遺恨を残さないために作成するのが遺言
と考えると,遺産分割方法まで指定しておく方がいいわけですね。

で,具体的には遺産分割方法を指定するためには,
どうやって遺言を書けばいいの?
という方は,ぜひ一度来所いただければと思います。
先ほど申し上げたとおり,
相続財産の内容によるので,一概にはお伝えできませんし,
ご希望の内容によっても,細かい表現が異なるため,
詳細については,直接お話しさせていただければと思います。

何かまとめに入ってるな?と思った方もいらっしゃるかもしれませんが,
残念ながら,もう少し続きます。

といいますのも,遺産分割方法の指定をしたとしても,
もめる余地が少なくなるだけであって,
もめる要素が他にも色々あるのです。
また,前回投稿で申し上げたとおり,
これを誰々にあげたい!というばかりではなく,
できれば誰々にはあげたくない,
あるいは,誰々にはこれだけしかあげたくない
といったことをご希望される場合が多々あります。
その場合に問題となるのが,「遺留分」。
遺産分割方法の指定の仕方によっても問題になります。
これまた聞き慣れない方もいらっしゃるかもしれませんが,
「いりゅうぶん」と読み,
要するに相続財産に対する推定相続人の最低保障みたいな制度のことです。

詳しくは,次回「遺言で残したのは遺恨?~遺産相続あれこれ4~」
お楽しみに~。

  令和4年6月吉日
                弁護士 小見山 岳

こんにちは。
税理士の越智満です。

相続税を補完する贈与税の話を次回に…
と前回の独り言を締めていたので,贈与税のお話です。

相続税は,
お亡くなりになった人(財産を持っていた人)が
”いくら財産を持っていたか”
で,納税の有無が決まりますが,

贈与税は,
”いくら財産をもらったか”
で,納税の有無が決まるため
”誰からもらったか”
は,納税の有無には関係ありません。

贈与税は次の2つの情報から計算します。
1 その年にもらった財産の総額
2 誰から財産をもらったか

・・・ん?
誰からもらったかは関係ないのでは・・・?
となりますが,贈与税の一般的な仕組みをみてみます。

まずは,
ここまでは贈与税が発生しない
“基礎控除”
というものがあります。

基礎控除は
年110万円です。

ここでいう”年”とは,”毎年1月1日から12月31日の間に”という意味です。
例えば,
小職が父から
令和3年12月31日に100万円をもらって,
さらに,
令和4年1月1日に100万円をもらった場合,
今日(令和4年6月15日)を基準に考えると,
直前1年間で計200万円もらっていますが,
令和3年も令和4年も110万円以下のため贈与税の納税義務はありません。
これに対し,
小職が父と母から
令和3年12月31日にそれぞれ100万円ずつもらった場合,
今日(令和4年6月15日)を基準に考えると,
前例と同じく直前1年間で計200万円もらっていますが,
令和3年にもらった金額が110万円を超えているため,
令和3年分の贈与税について納税義務が発生します。
もらった日が一日違うだけで大違いです。

次に,もらった財産の総額から基礎控除を引いた残額に税率を掛けて贈与税を計算します。
贈与税の税率は,
もらった財産が多くなれば多くなるほど10%~55%と税率が大きくなります(超過累進税率といいます)が,
財産をもらった年の1月1日時点で18歳以上(注1)の方が
直系尊属から財産をもらった場合には
税率が緩やかに大きくなるため,
配偶者や第三者から財産をもらうより
納税金額が少なくなる傾向にあります・・・・

少なくなる傾向って?
少なくならないこともあるの?
なんかややこしいなぁ・・・
ということで贈与税の目安表を作成してみました。
※ 特例がある場合,この金額よりも納税すべき贈与税額は減少します。

毎年小分けに贈与すれば,相続税も贈与税も減らせるけど,
土地や建物を小分けに贈与するのは難しい。
そんなときに,”相続時精算課税制度”というものがあります。

では,相続時精算課税制度の話を次回に…

(注1)
贈与税率が緩やかに大きくなる年齢は,
令和4年3月31日以前は20歳でしたが,
民法の改正により成人の年齢が20歳から18歳になったため,
これに合わせて令和4年4月1日以降は18歳となりました。

 
 
 
 

せっかくここまでお読みいただいたのですが,
相続税法については大幅な改正が行われる可能性あるので,
令和4年6月時点の取扱いとしてご覧ください。

お世話になります,弁護士の小見山です。

小職の苗字は「小見山」と書くのですが,
郵送物を頂く前提で電話で苗字を伝えた場合,
十中八九,郵送物の宛名は「小宮山」になっているので,
そんな時は,「おれは千葉ロッテの名投手の親族になっちまったぜ,フフフ」
とくだらないことを頭の中で思っていたりします。どうも,小見山です。

さて,全く関係ない話をして皆さんの貴重なお時間を数秒無駄にしたところで,
前回の続きです。

前回は相続について,相続人側から見たお話を少しさせていただきました。
今回は相続について,「被相続人」側からお話しします。
被相続人とは,亡くなられた方のことですから,
当然,相談に来られるのは亡くなられる前なのですが,
ご自身が亡くなった後について,
子どもたちにもめて欲しくないという思いで,
ご相談に来られる方がちらほらいらっしゃいます。
中には,逆に誰々には相続させたくない,
あるいは誰々にはこれだけしか相続させたくないという方もいらっしゃいます。

そこで,まずは誰が相続人になるの?
という点についてお話しておきます。
ご存知の方も多いと思いますが,相続人が誰になるのかは予め民法が定めています。
そのため,これらの相続人のことを
予め民「法」で「定」めた「相続人」ということで,
「法定相続人」なんて一般に呼んでいますが,
正確には,民法上「推定相続人」といいます。

推定相続人は,あくまで推定にすぎず,
被相続人を殺害した相続人や被相続人を騙したり脅して遺言を作成させるなど
一定の理由(これを欠格事由といいます。)がある相続人には,
そもそも相続人となる資格がありません。
サスペンスドラマではありがちですが,
犯人が相続人だった場合,
犯人は後に逮捕されて刑事裁判を経た上で服役するだけでなく,
民事上も相続できないわけです。当然といえば当然ですね。

また,刑事事件とまではいえないとしても,
被相続人を虐待していたとか,長期間音信不通であるとか
家庭的な信頼関係が破壊されているような事情が認められる場合には,
家庭裁判所に請求して相続人から除外することもできます。
これを推定相続人の「廃除」といい,
生前に被相続人自身が請求することもできますし,
遺言執行者を指定しておけば,遺言によって請求することもできます。

とはいえ,欠格事由が認められる場合や廃除まで求めるというのは稀有なことで,
実際には推定相続人がそのまま相続人となる例が多いかと思います。
(少なくとも小職はこれまで欠格事由が問題となった相続を担当したこともなければ,
廃除の請求をしたこともありません。)

では,推定相続人は誰がなるの?という点ですが,
まずは,配偶者がいれば配偶者。
配偶者は,いわば「殿堂入り」扱いで,相続順位に関係なく常に相続人になります。
大きな声では言えませんが,
男性既婚者の皆様,奥様は生きてる時だけでなく,亡くなった後も強いのです。

冗談はさておき,配偶者以外の推定相続人は順位が決まっています。
第1順位が「子」,第2順位が「直系尊属」,第3順位が「兄弟姉妹」。
第1順位がいれば第1順位,第1順位がいなければ第2順位,第2順位もいなれば第3順位
というように順位に従って推定相続人が決まります。
「直系尊属」は,聞き慣れない方も多いでしょうが,
「ちょっけいそんぞく」と読み,要するに直接血の繋がった上の世代のことで,
被相続人のご両親や祖父母がこれに当たります。
「兄弟姉妹」は以前の投稿で取扱いましたが,
通常とは異なる読み方をします。
答えが気になる方は以前の投稿を要チェックやで!

さて,推定相続人は以上のとおりですが,
それ以外の人にも遺産を分けたい!という場合によく利用されているのが「遺言」です。

と,やっと本題に辿り着いたところで,
またもやお時間が来てしまったようです。

次回,「遺言で残したのは遺恨~遺産相続あれこれ3~」
お楽しみに~。

  令和4年5月吉日
              弁護士 小見山 岳

こんにちは。
税理士の越智満です。

小見山弁護士から優秀な税理士が教えてくれると煽られたので,相続税のお話です。笑

相続に関する税務相談で,
「1千万円を相続したら相続税はいくらになるの?」
といった,質問がよくあります。
いつも答えは
「わかりません」
と,なってしまいます。

相続税は,次の2つの情報がないと計算ができません。
1 法定相続人の数
2 相続財産の総額

この情報のほか,
「1千万円を相続したら相続税はいくらになるの?」
といった,質問があると
「●●円ほど相続税を納める必要があります。」
と,”ある程度”答えることができます。

では,なぜ上記2つの情報が必要になるのか。
相続税の一般的な仕組みをみてみます。

まずは,
ここまでは相続税が発生しない
“基礎控除”
というものがあります。

基礎控除は
法定相続人の数×600万円+3000万円です。
例えば,小職が亡くなった場合は,妻と子供1人の合計2名が法定相続人となるので
2人×600万円+3000万円=4200万円となります。

ちなみに”法定相続人の数”の平均は
昭和63年では3.68人
平成30年では2.77人
だそうです(財務省:相続税・贈与税に係る基本的計数に関する資料より)。

次に,相続財産の総額から基礎控除を引いた金額(課税遺産総額といいます)が
プラスなら相続税が発生することになります。
ここでマイナスならどれだけ財産を相続しても相続税は発生しません。

ちなみに相続税が発生した方の”相続財産の総額”の平均は
昭和63年では2億6428万6千円
平成30年では1億3979万6千円
だそうです(財務省:相続税・贈与税に係る基本的計数に関する資料より)。

上記2点をもとに,
”課税遺産総額に法定相続分を掛けた金額”に
”相続税の税率を掛けた金額”の”合計”が
”相続税の総額”となり,
相続税の総額に
”相続した財産の割合を掛けた金額”が
納付すべき相続税額となります・・・・・・・・

なんかややこしいなぁ・・・
ということで相続税の総額の目安表を作成してみました。
目安金額に相続する財産の割合を掛ければ納付税額目安になります。
※ 税額控除や特例がある場合,この金額よりも納税すべき相続税額は減少します。

「相続税を減らしたいなぁ」と思っても,
相続人を増やすことは難しい。
じゃあ,「亡くなる前に財産を減らしておけば税金が減らせるのでは?」
と,なりますが,相続税を補完するために贈与税があります。

では,相続税を補完する贈与税の話を次回に…
 
 
 
 
せっかくここまでお読みいただいたのですが,
相続税法については大幅な改正が行われる可能性あるので,
令和4年4月時点の取扱いとしてご覧ください。